時には優しく…微笑みを
拓海さんとのキスが激しさを増しかけたその時、私の脳裏に過去の事がフラッシュバックのように思い出された。

「っ、いやっ…」

バンッ

「…あ…」

「朋香…?」

私は拓海さんを激しく突き飛ばしていた。

「ご、ごめんなさいっ…っ、はぁっ…っ」

胸が苦しい…
上手く呼吸が出来なかった。
またいつもの…過呼吸が出ていた。

「と、朋香?だ、大丈夫か?」

拓海さんは、慌てて私が落ち着くようにと背中をさすってくれた。

拓海さんの声を聞きながら、私は意識を手放した。

目が覚めた時、私はベッドの上にいた。

「大丈夫?朋香ちゃん?」

「…え?結子さ…ん?な、なんで…」

私の手首を握り、脈拍を測っている結子さんが目の前にいた。

「ちょうどね、菅野君の所に諒太と来たらこの騒ぎでしょ?びっくりしたわよ。でも、大丈夫ね。いつもの過呼吸とは違ったみたいだったから、気を失っただけで済んだみたい」

結子さんが、話をしながら体を起こそうとする私の背中に手を当てて、大丈夫?と顔を覗き込んでくれていた。

「だ、大丈夫です。すみません、またご迷惑をかけて…」

「何言ってるの。ちょっと待っててね」

そう言うと、結子さんは部屋から出て行った。
< 106 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop