時には優しく…微笑みを
「私と朋香は、出身が大阪と東京なんで、繋がりがないと思われてますけど、3年前から友達なんです。だから、朋香が前の人と別れた時の話は知ってますよ。その後に起こった発作の事も…」

発作が起きるようになった出来事、前に付き合っていた人からのひどい仕打ちを全部聞いた。

バンッ

あまりの音の大きさに、周りの客が俺を見ている事に気づいたが、それを気にするどころではなかった。

「じ、事実なのか…それ」

「本当です。それからです、あの発作が出るようになったのは…」

「朋香は人を信じられなくなっています。特に男の人がダメなんです。最初はいい事を言ってても、最後は裏切ると…何度か、合コンやそう言う集まりに連れて行きましたけどダメでした。そんな朋香が、菅野課長との事を悩み始めたから、やっと前に進められるようになったんだって思ったのに…何があったんですか?」

齋藤に昨日、朋香の身に起きた事を話した。

「そうなんですね。よかった。菅野課長、朋香はまだ傷が癒えてないんです。あの時見た光景が、まだ刻まれてるんだと思います。相手の人からも心ない言葉を言われたらしいんで…」

っ、まさか浮気相手からも?
どこまで、腐った男なんだ、そいつは。
殴ってやりたい、と俺は思った。

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