時には優しく…微笑みを
「菅野課長、その結子さんって人の家、教えてもらってもいいですか?私、今日朋香の所に行ってきます」

「あぁ、そうだな。佐々木に連絡して確認するよ。それからでいいか?」

「はい。大丈夫です。でも、よかった、本当によかった。思ってたんですよ、絶対、菅野課長は朋香の事が好きなんだって!間違ってなかったんですね」

齋藤に、間違ってなかったと、笑顔で言われて俺は恥ずかしくなっていた。

「そんなに分かりやすかったか?」

「え?気がついてなかったんですか?」

驚きの表情で俺に、あれで気がつかない人いませんよ、と。
まぁ、私は朋香とよく一緒にいるから、その現場を見たって感じですかね、と言われたが、分かる奴にはバレてるってどうなんだ。33にもなって…中学生かよ。

「けど、課長?鬼だって、厳格だって会社じゃ言われてますけど、本当は情熱家なんですね?そこまで思われて私、朋香が羨ましいですよ、ふふ」

笑われた。 って、言うか…情熱家って。

「あのな、齋藤。みっともなくないか?33なんだよ、俺。あいつから見たら、齋藤から見ても俺はオッさんだろ?」

「課長…そんな事ないですよ。私達から見たら、オッさんじゃないですよ、
朋香は気にしてました。自分でいいのか?って。課長にはもっと相応しい人がいる、って。こんな傷があるような私じゃダメなんだって。だから、課長は自信を持って下さい」

自信を持てか、部下に何励まされてんだ俺?

齋藤に朋香をお願いします、と頭を下げられ俺は心に決めた。
俺が朋香を守る、と。
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