時には優しく…微笑みを
「さっき着いたとこ。で、どうしたの?」

「あのね…」

「え?……」

七海からの話の内容に私は、言葉が出なくなっていた。

「大丈夫?朋香。ごめんね、こんな気になるような事教えて…」

少しの沈黙の後、私は七海に伝えた。

「大丈夫よ。ちょっとびっくりしただけ。やっぱり…ないわ。信じられない、それだけ。大丈夫、私なら大丈夫だから、ありがとう。七海」

「…よかった。何かあったらいつでも話してね?」

「うん。じゃ、おやすみ」

そう言って電話を切った。
私は話をしようと、拓海さんの寝室に向かった。

コンコン

「拓海さん、入ってもいいですか?」

「ん?起きてるよ、入っといで」

ドアを開けると、拓海さんはベットの中で本を読んでいた。その本をサイドテールに置き、おいでと私を布団をめくってくれた。

「さっきの七海からの電話なんだけど」

私を見て何かを感じたのか、優しく声をかけてくれた。

「ゆっくりでいいから、話してごらん?」

震える手を握ってくれた拓海さんを見つめながら、私はゆっくりと話をした。
< 163 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop