時には優しく…微笑みを

七海からの電話は、今日優弥さんが来た時の話だった。
迎えが来ると分かっていたから、七海自身は心配していなかったけれど、気になって、私が帰るのをそばで見ていたらしい。私は七海がいた事に気がつかなかったんだけど。

それで、諒太さんと優弥さんのやり取りを見ていたって、拓海さんが迎えを頼んでいて正解だったな、さすが課長!と思ってたらしい。で、その場を離れて仕事が残っていたから、戻ろうとした時、優弥さんと女の人が親しげに話をしている所を見かけたと。
私と諒太さんの方を見ながら話をしていたから、何事かと思って七海も聞き耳を立ててたらしい。

「…それって…」

「多分…彩奈さんだと思う。話の内容からして…あれは結子の彼氏だからあの子の彼氏じゃないわよって。しっかり元カノ狙いなさいよ、って…」

そう、彩奈さんが優弥さんを焚きつけていたらしい。

「あいつ…」

「七海もびっくりしたらしいんだけど、怒鳴ったところで、逃げられるだけだと思って私には話しなきゃ、って電話くれたの。拓海さん、どうしたらいい?私、どうしたらいい?」

私は混乱していた。
私と別れる時、あの人と付き合うからって言われて、あんな振られ方をしたのに、どうして今さら?結子さんが言うように、拓海さんが課長だからってだけで復縁望んでるの?そばにいる私が邪魔だから、優弥さんを使ってくるの?

「朋香、やっぱり…結婚する事発表しよう。そして、あいつらにきっぱり言おう。邪魔させない、って」
< 164 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop