時には優しく…微笑みを
もういいだろう、と。
二人で車に乗って出社すると、案の定、駐車場から一緒に来た私達を見た、女子社員から捕まってしまった。

拓海さんは、高岡部長に話してくる、と先に行ってしまったので、もちろん私一人だけで…。

「ね、どうして櫻井さんが、菅野課長と一緒に出社してんの？」
「なんで？車で一緒に来たの？」

まぁ、いろんな事を聞かれた。

「あの、それは…」

「どう言う事よ」

かなり詰め寄られてしまっていた。

怖いなぁ、女の人の嫉妬って…
みんな拓海さんの事、狙ってたしな。

「俺と朋香が結婚するからだよ、それが？」

「え？」

そこにいた、女子社員が一斉に声がする方を振り返った。

そこに、高岡部長と一緒に歩いてきていた拓海さんが立っていた。

「菅野課長！あ、あのそれは…」
「け、結婚ですか？」

口々に、拓海さんの表情が怖いのと、結婚という言葉を聞いて固まってしまっていた。

「大丈夫か？部長には報告したから。後で人事部にも話しに行ってくるよ」

固まっている女子社員をよそに、拓海さんは私に笑顔を見せて、手を出してきた。

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