時には優しく…微笑みを

「よろしくお願いします」

「もう、いいのに。朋香さんね、よろしくね。今度一緒にご飯でも行かない?」

「へ?」

まだ、挨拶もそこそこにしか出来ていないのに、このフレンドリーさはなんなんだろう。

「母さん。びっくりしてるだろう。朋香さんだったかな?大丈夫かい?」

振り返ると、リビングのソファに拓海さんに似た男性が座って話しかけていた。

「父さん、仕事は?今日はいないって聞いてたけど?」

「お前が、初めて連れてくる彼女だろ?見ないわけにはいかんからな。休んだよ」

「なっ…」

「ははっ、そんな訳ないだろ。休みになったんだよ。ま、そこにかけて」

そう言われ、ソファに2人並んで座った。

「すみません。ご挨拶が遅れました…」

「いやいや、いいんだよ。ごめんね、ウチのが。拓海から話を聞いた時から娘が出来た!って大騒ぎだったからね。しかも、息子が2人もいるのにまだ、誰も彼女を家に連れてきてなかったから、興奮してるんだよ」

「は、はぁ…」

驚きながら話を聞いていると、拓海さんが、それは今話すことじゃないだろ、とお父様に言っていた。

会社じゃ、恐がられる存在の拓海さんでも、家じゃこんな感じなんだと感心していた。

< 181 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop