時には優しく…微笑みを
「よろしくお願いします」
「もう、いいのに。朋香さんね、よろしくね。今度一緒にご飯でも行かない?」
「へ?」
まだ、挨拶もそこそこにしか出来ていないのに、このフレンドリーさはなんなんだろう。
「母さん。びっくりしてるだろう。朋香さんだったかな?大丈夫かい?」
振り返ると、リビングのソファに拓海さんに似た男性が座って話しかけていた。
「父さん、仕事は?今日はいないって聞いてたけど?」
「お前が、初めて連れてくる彼女だろ?見ないわけにはいかんからな。休んだよ」
「なっ…」
「ははっ、そんな訳ないだろ。休みになったんだよ。ま、そこにかけて」
そう言われ、ソファに2人並んで座った。
「すみません。ご挨拶が遅れました…」
「いやいや、いいんだよ。ごめんね、ウチのが。拓海から話を聞いた時から娘が出来た!って大騒ぎだったからね。しかも、息子が2人もいるのにまだ、誰も彼女を家に連れてきてなかったから、興奮してるんだよ」
「は、はぁ…」
驚きながら話を聞いていると、拓海さんが、それは今話すことじゃないだろ、とお父様に言っていた。
会社じゃ、恐がられる存在の拓海さんでも、家じゃこんな感じなんだと感心していた。