時には優しく…微笑みを
拓海さんの実家に行ってから数日、会社の中でも私達の事は噂にならなくなった。

みんなに認知されたみたいだった。

「ふー！やっと着いた。飛行機にすればよかったかな…」

私は一人で大阪に帰ってきていた。

久しぶりの大阪は、東京とは違う賑わいを見せていた。
新大阪から、自宅にある最寄りの駅は1時間かかる。
周りの風景を楽しみながら、私は電車に乗っていた。

大阪に帰る数日前、私は東京で横浜にいる兄と会っていた。

「お兄ちゃん、ここ！」

「おう！待ったか？悪いな、事件の後始末で書類が山ほどあってな」

「ううん。私もさっきだから…」

上の兄、一哉は横浜で刑事をしている転勤で2年前から横浜で生活をしていた。私が東京に出ることも、この兄がいたから許してもらえた。

「変なのに声かけられへんかったか？」

「あ、うん。大丈夫やったよ」

そう、年が離れてるせいもあり、両親よりも過保護なのだ。
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