時には優しく…微笑みを
「ただいまー」

実家に着いた私は、玄関を開けて声をかけた。

「おかえり。疲れたやろ、はよ入り」

「あ、これお土産」

挨拶もそこそこに、私は久しぶりの我が家でくつろいでいた。

「一哉に会うたか?」

「会ったよ。なんか言うてた?」

「俺が見極めたる!ってなんか燃えたで?彼氏の事なんて言うたん?」

「なんて、って…お兄ちゃんと同い年やねんからオッさんちゃうで、って」

「10も離れてるからなぁ、自分と同い年なんが嫌なんちゃうか?」

いや、その理由意味分からんし。

「お父さんは?」

「買い物行ってくるって、出かけたわ。どうせあんたの好きなケーキでも買うてくるんとちゃうか?」

「そう…、ちょっと部屋行ってるで」

そう言って、自分の部屋に行った。

私が東京に行ってからも、母は部屋の掃除を定期的にしてくれている。
ベッドに横になった私は、一息ついていた。

「もしもし、拓海さん?家に着きました。今自分の部屋からです」

「無事着いたんだね。よかった、まだ話はしてないんだね?」

「父がいなかったんで、また夜にゆっくり話するつもりです」

「そうか、帰りは?」

「明日の夜には帰りますよ」

「じゃ、その頃また電話するね。迎えに行くから」

実家に帰ってる事もあって、拓海さんは電話を早めに切り上げてくれた。

それから私は、ひと休憩で眠りについた。
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