時には優しく…微笑みを
「朋香!ご飯よー」

ご飯?
食べる!
…って、ここどこ?

私は母の声でびっくりして飛び起きた。

「実家に帰ってきてたんだ…」

疲れて眠っていたみたい。

何度も母の私を呼ぶ声が聞こえて、目が覚めた。
私は慌てて下に降りて行った。

「ごめん…寝てたよ」

「やっぱり、お父さんも大樹も帰ってきてるから、早く座り」

「あ、うん」

リビングを見ると、父も大樹兄さんも椅子に座っていた。

「すみません、帰りました」

「お前、よー寝てたな。俺が部屋に入っても起きんかったやろ」

「え、嘘!入ったん?」

「あぁ、起こしに入ったけど起きんかったやんけ」

「あんな姿、彼氏に見せてるんか。ちょっと心配になったで」

大樹兄さんにそう言われて、自分がどんな寝方をしていたのか、気になって仕方なかった。

父は笑いながら私達を見ていた。

「久しぶりやな、朋香」

「お父さん、ごめんね。帰ってくるのが遅くなって…」

「まぁいい、一哉からも話は聞いてたから、向こうでの生活の心配はそんなにしてなかったけどな」

一哉兄さんから…どんな報告をしていたのやら…。

その夜、久しぶりに4人でご飯を食べた。

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