時には優しく…微笑みを
「…さ、櫻井、危ないって」

「…あ、す、すみませんっ…」

慌てて課長から離れた。

「……すみません。でも、課長モテるのは本当ですよ。嘘じゃないです」

顔が多分真っ赤になっていたと思う。
私は窓の方を見ながら話をしていた。

「あ、ありがとう。まだ男としてやっていけそうだな」

半分笑いながら、課長は言っていた。
本当ですよ、課長。

間を空けたくなくて、私はしなくてもいい話を目的の場所に着くまで、必死になって話をしていた。

都心から離れる事1時間ほどで、その場所に着いた。

「さ、ここで買物しようか」

ここで？
着いた場所は。大きなアウトレットモールだった。
周りにはカップルか家族連れが多くて…
こんな、上司と部下で来てるなんて、私らぐらいだろう。

「なに、ボサッとしてるんだ？好きな物買ってこい。俺は俺で買い物してくるから、そうだな…2時間後にここに集合でいいか？」

「へ？し、集合？」

多分変な声が出ていたはず。

「あ、は、はい。分かりました。じゃ、行ってきます！」

その場から逃げるように私は、お目当の店があるわけじゃないのに、モールの中に入って行った。



課長の姿が見えなくなるまで、私は突き進んでいた。

「…なんだ、一緒に回るんじゃないんだ…」

本音が少し漏れていた。
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