時には優しく…微笑みを
「菅野君と彩奈が会ったって本当?」

まさか結子さんから、彩奈の名前が出るとは思ってもみなかった。
私は驚いて言葉が出せないでいた。

「結子は拓海の元カノの田村と友達だったんだよ」

友達だったんだ…?過去形?

「諒太から聞いてビックリしたの。まさか彩奈から連絡してきたとかじゃないわよね?」

言っていいのか迷った。
課長がいないなに、こんな話をしてもいいのか、

「プライベートな事だけど、菅野君と彩奈の事では私達も絡んでるから、教えてほしいの。どうなの?」

私が言ってもいいのか悩んでいるのが、分かったのか結子さんは前置きをしてきた。

「…偶然なんです。課長と一緒に買い物に出かけた先で、偶然にも会ったんです。課長も驚いていました」

「それだけ?」

迷った。その先の話をしてもいいのか、と。
だけど、それをも結子さんは畳み掛けてきた。

「何かあったのよね?菅野君の事だから、あったと思うわ」

「…っ、後は課長から聞いた話なんで、言ってもいいのか…私には話すって言ってくれたんで、さすがにこれ以上は…直接課長に聞いて下さい」

言えない。私には話したい、と言ってくれた課長を裏切れない、そう思った。
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