時には優しく…微笑みを
♪♪♪♪♪♪♪

電話…誰だ。
部屋に戻ってからどれくらい経ったんだろうか、気がつくと夜が明けていた。

何度か電話の着信があったが、それに出る気力も失っていた。

携帯のディスプレイには、彩奈の名前が何件も表示されていた。

「…もしもし？あ、拓海？電話くれてたでしょ？ごめんね、気がつかなくて。友達が来てて…」


友達か…
ベッドを共にする友達がいたのか…

話をする気力も失いそうになっていた。

「彩奈、別れようか…」

「え？な、なに？なに言ってるの？分かんないだけど…もしもし？」

「別れよう」

それだけ言うと俺は電話を切った。そして、電源をも落とした。


ピンポーン

「はい？あ、拓海、お前なんでこんなにも朝早いんだよ…」

「悪い、ちょっといいか…」

彩奈からの電話を切った俺は、諒太のマンションに来ていた。

諒太は、結子が来てない日だったからよかったけど、いてたら追い返してるとこだぞ、と笑いながら言っていたが、それにすら笑う事も出来ず、昨日あった事を話した。

「は？な、なんだそれ。マジか」

「あぁ、この目で見たし、聞いたんだ…」

「どうするんだ？」

「さっき、別れようって言った」

「そ、そうか。それがいいな」


それからが大変だった。
別れる事に納得していない彩奈が、諒太や諒太の彼女である佐々木を巻き込んできた。

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