時には優しく…微笑みを
「……そうだったんですね…。すみません、そんな話を聞いてしまって」

「いや、俺が女に対して厳しくなったのもそれがあるからなんだ。櫻井にはかなり迷惑をかけただろう？」

「あ、いや、そんなには…仕事で厳しいのは当たり前じゃないですか。私は課長が正当な評価をしてくれるのは分かってたんで。あ、だいぶ経ってからですけど…」

「そうか？それならいいんだがな。その事があったから諒太も佐々木も心配してくれてるんだよ、女性不信になった俺を」

「………」

不信…
それは分かるかも。
私も、人を好きになった男(ひと)を信じられなくなったから。
でも、私はまだその事を課長には言えずにいた。

諒太さん達には、軽く話はしたけれど、あの事に触れる事がまだ私には出来ていなかったから。

「まぁ、そんな感じだから、櫻井をここに泊める事も出来たんだろうな」

「それって、手が出せないからって事ですか？」

「…ん、まぁそうだろうな。実際、そんな気にはならなかったし。逆に櫻井が心配で仕方なかったんだ。守ってやらないと、ってな。まぁ、支離滅裂だけどな」

そう言って課長は笑った。
会社では絶対見せない表情で、私もつられて笑っていた。
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