時には優しく…微笑みを
話が大きくなってきた。
そもそも、私が課長の彼女として見られるのは論外だ。

彩奈さんと私が会ったのは、あの出掛けたあの日だけだし、彼女って感じで課長といた所を見られた訳でもないし。

「か、考えすぎじゃないですか?」

「考えすぎじゃない。前にも似たような事があったんだ。拓海からその話は聞いてないんだね?」

え?
そんな話はしてない、課長はしてなかった。

「分かった。じゃ、拓海に話しに行くよ。朋香ちゃんはそこにいて、家で話するから、分かった?」

「…はい」

電話が終わるとすぐに諒太さんが、課長の家にやってきた。

そして、朋香ちゃんもここに座ってと言われて、課長の横に座った。

「拓海、大事な事、朋香ちゃんに話してないんだろ?そこを言わないと、何かあってからじゃ遅いんだぞ?」

諒太さんの話を、俯いて聞いていた課長が静かに口を開いた。

「…だから、守ろうと思ったんだよ。余計な気を使わせたくなかった」

「それはお前の気持ちだろう?朋香ちゃんの気持ちも考えろ!」

「櫻井の?」

私?いや、話が広がっているような気が…します。
課長と諒太さん、二人だけの世界になり、私はどうしていいのか分からなかった。

「直接怖い思いをするのは、朋香ちゃんだろ?だったら話はちゃんとするべきだ。部外者じゃないか朋香ちゃんは」

「…そうか、そうだな。俺の事だから、迷惑がかからないようにと思ってたんだが…」

へ?そこ?私は違う意味で考えていた。
課長が私を守りたいなんて、まさか私の事を、って…また私の悪い癖、一人妄想が始まりかけていたところだった。
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