時には優しく…微笑みを
ふざけないでくださいよ、と言いながら私は課長とのこの関係がいつまで続くのだろうと思っていた。

課長は、私が心配だからと何かと構ってくれているけれど、そこにそれ以上の気持ちがあるかと聞いても、多分ないと言われるだろう。

私の課長への気持ちもそうだ。安心して、ホッとしている感覚があるけれど、好きかと聞かれたら返事に困ってしまう。

だけど、この関係を続けたいと思ってしまってるのも事実。

私が考え込んでしまってるのを見て、課長が声をかけてきた。

「櫻井、怒ってるのか?調子に乗ってしまってすまん。大丈夫か?」

不安そうな顔をして、私の顔を覗き込んできた。

「あ、いえ。大丈夫です。課長こそ大丈夫ですか?」

「…ん?俺か?大丈夫だよ。彩奈の事が落ち着くまでは、ここから出て行くなよ?そして、俺から離れるな、分かったな?」

「っ、はい。分かりました」

課長は、私が分かりましたと言うとホッとしたような表情を見せた。

「……課長、聞いてもいいですか?」

「ん?なんだ?」

「神木物産の担当なんですけど、課長じゃないとダメなんですか?」

「その事か…、そうだな…代わってもらいたいんだがな、今は無理だな。俺も代わりたいんだけどな。悪いな、あ、それと絶対急ぎだからって、言われても相手するなよ?分かったな?」

私は黙って頷いた。
だけど、彩奈さんの事があってもなくても、私の中では神木物産との関わりたくないと言う気持ちがあった。

それは…

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