扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
その日の昼休み、昼食を摂った後教室を出ようと友達と一緒に立つと後ろの扉の方へと目を向けるとあの子ら話し込んでいるのが目に入った。



私は気にせず前を通ろうとした。



1人の男の子が私の足に自分の足を出して、まるで私に引っ掛けさせるかのように出してきた。



急に出された足に安定を崩しそのまま床に倒れてしまう。



なんとか手を付いたので派手に転ぶ事はなかったが手には血が出ていた。



クスクスとその子らは私をバカにするように笑う。



「ちょっとあんたいい加減しなさいよね」



浬樹ちゃんが私の代わりにその子らに注意を払う。



「式見くん!いい加減やめなさいよねっ」



「はあ?」



「………」



式見 狂倉〈しきみ きょうら〉くん。



彼が私に嫌がらせを始めた主犯だ。



私は式見くんに目を向ける事なく立ち上がり、そのまま教室を出ていく。



その姿に同じように嫌がらせする女友達の子が「うわっ感じ悪っ」と言うが私は気にしないようにして無視をする。



式見くんは何が目的で私に嫌がらせするのか全く分からない。



ただ、彼の私に対するあの目の敵にするような瞳はどうしても狂気に見える。



「大丈夫? あっ血が出てる」



浬樹ちゃんは心配そうに近付き、手をのぞかせる。



「あ、そうだね。保健室 行かなきゃ」



「付いていこうか?」



「ううん、平気」



そう言って2人に告げて保健室へと赴いたのだった。



「ちっまた無視かよ」



後ろから式見くんの舌打ちが聞こえたが、それも無視した。




〈ガラ〉



「失礼します。星都〈ほしみや〉先生いますか?」



「ん? やあ、杏ちゃん。いらっしゃい。
今日はどうしたの?」



保健室に入ると星都 瑠稀〈ほしみや るきあ〉先生が笑顔で迎えてくれた。



星都先生とは中等部からよく保健室に通っている内に覚えられるようになり、今ではこうやって下の名前で呼ばれる程になった。



「……転んだの?」



「あ、はい」



おそらく星都先生は私の状況を知っているだろうけど、でも先生は一度問い詰めたりはしないでくれている。



きっと先生なりの気遣いだと言える。



「はい、できたよ」



「ありがとうございます」



「ねえ、杏ちゃん」



「はい?」



「もし本気で耐えられないと思ったら、僕でもいいから言ってよね。そうじゃないと手遅れになるからね」



「…はい」



星都先生はいつも優しくてこんな私だけどいつも気遣ってくれて、女生徒に人気があるのが分かる気がする。



(そこが星都先生の魅力でかっこよさなんだよね)



こういうの大人の余裕ってやつなのだろうか?



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