扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
教室から出て裏庭に出てくると、絵になるようなあの人がいつものようにベンチで座っていた。



(やっぱり綺麗だな)



女の子みたいに綺麗ですごいな。



「! あっ」



「!」



私の姿に嬉しそうな表情でこちらに向かってくる。



なんかお花が近付いてくるようだ。



「やっほーアリスちゃん」



またアリスって言われた。



「あの私…アリスって名前じゃないんですけど」



「うん?君はアリスだよ?」



何の確信でアリスと言っているのだろうか?



よく分からない人だ。



「じゃあ行こうか」



「はい」



そう言って、彼は手を出してくる。



手を出してっていう意味だろうか?



彼の合図になんとなく手を出そうとするが途中で思い止める。



(あ、間違えた)



「!」



思わずケガした左手を出しかけたので反対の手に差し替えようとした。



すると、彼は何の躊躇もなくケガした左手を触る。



「…!」



「ケガしたの?」



「えっえっと」



本当の事など言えるはずもなく、戸惑いながら曖昧に頷く。



「こっ転んだんです」



「…ふーん」



私が曖昧な答えに信じていないのか、疑いの目で見てくる。



「じゃあ」



「!?」



それ以上は何も問い詰めたりはしなかったけど、その反対に私が出そうとしていた手首を軽く掴みそのまま手を握る。



「あっあの」



「さあ、行こうか」



「う、うん」


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