扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
ずっと気になって仕方ない感情があった。



なんでなんだろう?



なんで、彼らはこんなにも優しいのだろう。



私は、今までこんなにも優しくされた記憶がない。



男の子なんてみんないじわるで自分勝手だ。




「はい、着いたよ」



連れて来られたのは、先程の場所からそこまで離れていない洋館みたいな建物だった。



「あの…蒼兎くん」



「ん?」



「手離して…」



「ああ、ごめん」



なぜか手が繋がれていて、言えば素直に離してくれた。



「………」



蒼兎くんはきっととても良い人なのだろう。



ただ、私に優しい理由がどうしても分からない。



私がアリス?だから?



そもそも、何がどうアリスなのかも分からないし。



〈ガチャ〉



玄関の扉を開けると、中はなぜか明るかった。



そして、どこからと可愛らしい声が聞こえてきた。



「ようこそ、お待ちしておりました」



「!…ね、ねずみ?」



にしても丸っこくて、ビジュアルがアニメみたいに可愛い。



「はい、ねずみですよ〜。あなたがアリスですね」



「リィア、まず案内してあげて」



「かしこまりました」



敬語で話すアニメみたいなかわゆいデフォルメのねずみが2本足で歩いている。



「こちらに」



「あ、うん」



この子はここの案内人か管理人の子なのかな?



「この子はリィアって言ってね、この洋館の管理人している子なんだよ」



私の心を見透かしているかのように蒼兎くんが教えてくれる。



こんなかわいいねずみちゃんが1人で管理しているんだ。



(なんか、すごい…)



「ここは物語を管理している館みたいな場所だよ」



(物語?)



「はい! 私はここの案内人ですから。様々な物語を楽しめるアリスワンダーワールドですから♪」



「…アリスワンダーワールド?」



ねずみちゃんは嬉しそうにそう言う。



そして、2人もまた疑問を感じる事がないままねずみちゃんに向けていた。



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