扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「ほら3人共、下校時間過ぎてるから帰った方がいいよ」



「ああ、そうだね」



そういえば、もう下校時間過ぎてたんだ。



「じゃあ、帰ろうか。アリスちゃん」



「あ、うん」



蒼兎くんは軽く私の肩に触れて扉の方に促す。



「杏ちゃん」



「はい?」



保健室を退出しようとした際、星都先生に呼び止められる。



「また、明日ね」



「…ぁ」



いつものように優しそうな表情で笑顔で挨拶をしてくれた。



ただの挨拶なのに舞い上がってる自分がいるのは、おそらく気のせいではない。




保健室を出て校門へ向かっていると、ふと音仲くんが近寄ってきて驚きの質問をしてきた。



「ねえ、望杏ちゃん」



「ん」



「望杏ちゃんってさ、星都先生が好きなの?」



「へ!?」



(何を言ってるの、この子は…)



「やっぱりそうなの!?」



「えっ」



なぜか蒼兎くんは音仲くんの質問に反応し、食い気味に聞いてきた。



「いや、あの」



「嘘だよね!?」



「瑠架くん、必死すぎ」



「いや、だってさ!気になるじゃん!」



「まあ、分かるけどさ」



「……あの」



「好きとか言わないよね!」



「……えっと」



蒼兎くんの食い気味さに圧倒されて少し引いてしまっている。



「あのさ、望杏ちゃん。こんな事を言うのは酷かもしれないけど、星都先生はやめた方がいいよ。まあ、先生っていうのもあるけどさ」



何か勘違いされている気もするけど、別にそういうのではないと思うけど。



「いや、あの…星都先生は確かにかっこいし優しくて素敵で好きな先生だよ。でも恋愛感情的なものはないと思うけど」



「………」



否定したはずなのに、なぜかまだ蒼兎くんは先程と同じように疑いの目を向けられた。



「気づいてないだけじゃん」



「瑠架くん…」



何が不満なのか分からないけど、ぼそっと音仲くんに話し掛けていた。



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