扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「………」



今日はいつもより穏やかな日だ。



朝から嫌がらせがない。



まあ、毎日嫌がらせを受けている訳ではないから。



週に数回でもずっと受けている訳だから、気が滅入るのは事実だ。



「今日は大人しいのね」



「よかった。本当 鬱陶しいのよね、あの子ら」



浬樹ちゃんと碧沙ちゃんは彼らに対してあまり良い印象を思っていない。



基本的にクラスメイトも邪険に思っている人が大半らしい。



たった一つの事で人が変わるなんて恐ろしいとは思うけど、あの子らのやってる事は正直たちが悪い気もするけど。



「あー望杏ちゃん! みっけ♪」



「えっ!…音仲くん!?」



突然の音仲くんの登場に驚きつつも廊下に出る。



「あのね、今日の放課後も来てほしい所があるんだって」



「昨日の所?」



「ううん、そこじゃないんだけど。とりあえず案内してくれるみたいだから保健室に行ったらいいよ」



「わかった」



「じゃあ」



言いたい事だけ言って音仲くんは戻ろうとする。



「あ、それだけ?」



「うん、連絡先とかまだ交換してなかったし。
あ、放課後しようね」



「あ、うん」



そう言って今度こそ戻っていった。



嵐みたいな子だ。



わざわざ教室に来て伝えに来てくれたんだ。



中等部と高等部じゃあ結構 離れてるのに。



「ねえ、今の子誰?」



「すごくかわいい男の子だね」



教室に戻るとなぜか2人に問い詰められていた。



「制服からして中等部の子だよね」



「う、うん」



昨日の事は内緒にしてほしいって言われているから、本当の事は言えないから。



結局、適当に流す感じになってしまった。


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