扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
確かに今日はなぜか嫌がらせはないんだけど、だけど、朝から妙に気になる視線があるのは事実だ。
式見くんがいつも以上に睨み付けてくる。
で、グルとなっている友達の子とコソコソと「今日嫌がらせしないの?」「なんで?」とか嫌な会話が聞こえてくる。
そういう会話は別の所か、小さい声で言ってほしいのだけど。
確かに嫌がらせはなかった。
だけど。
「森瀬さーん♪」
放課後、音仲くんとの約束通り保健室へと行こうと、教科書などを鞄に入れて教室を出る準備をしていたら、前方から色見くんの友達のグルとなって嫌がらせをしてくる新木 奏夏〈あらき そうか〉さんが何か企んでいるニヤついた表情で近寄ってきた。
「何か?」
新木さんは腹立つ程に不愉快な笑みを向けてくる。
「あのね、今日あたし日直なのよー」
「うん」
(知ってるけど)
「でー」
ものすごく不愉快さを感じる喋り方が癪に障るのは気にしない方がいいのかな。
「先生にね雑用 頼まれたのよ」
「はあ」
「でも、あたし今日用事あるって言ったのに聞かないのよ」
「そう」
「で、あなた暇でしょ。部活やってないもんね。
どうせ帰るだけじゃん」
この流れは、絶対に嫌な予感しかしない。
「えっ今日は」
「それでー代わりにやってもらいたいの♪」
そう言って背中に隠していた資料を私の前に出して、押し付けるかのようにグイグイと「やれ」と言わんばかりの圧を向けてきた。
「えっと」
「あたし今日はデートがあるから、無理なの。ていうか、こんなのやりたくない。暇なあんたがやって」
もうお願いじゃなくて、命令になってるよ。
というか、私に拒否権はないんだろうか。
(ないんだろうな)
そもそも新木さんは素直に雑用をやるタイプじゃないし。
「う、うん」
結局、引き受けてしまう。
「ありがとう。超ー簡単だから、ホッチキスするだけみたいよ。終わったら担任に渡しておいて」
そう言って新木さんはそそくさと逃げるかのように教室から去っていった。
「……ふう」
新木さんの横暴さはいつもの事で、嫌がらせがない分まだマシだ。
「何枚ずつなんだろう? あ、メモ書いてある」
嫌がらせも無理な押し付けも、私が何も反抗しようとしないからやってもいいと勘違いしているんだと思う。
反抗しないのは多分、私が相手にするのが鬱陶しいというのもあって、相手にするのは無駄な気がするからだ。
まあ、それが良いように利用されたり調子乗ったりしているんだと思う。
自分に呆れつつも押し付けられた資料に手を伸ばしたのだった。
式見くんがいつも以上に睨み付けてくる。
で、グルとなっている友達の子とコソコソと「今日嫌がらせしないの?」「なんで?」とか嫌な会話が聞こえてくる。
そういう会話は別の所か、小さい声で言ってほしいのだけど。
確かに嫌がらせはなかった。
だけど。
「森瀬さーん♪」
放課後、音仲くんとの約束通り保健室へと行こうと、教科書などを鞄に入れて教室を出る準備をしていたら、前方から色見くんの友達のグルとなって嫌がらせをしてくる新木 奏夏〈あらき そうか〉さんが何か企んでいるニヤついた表情で近寄ってきた。
「何か?」
新木さんは腹立つ程に不愉快な笑みを向けてくる。
「あのね、今日あたし日直なのよー」
「うん」
(知ってるけど)
「でー」
ものすごく不愉快さを感じる喋り方が癪に障るのは気にしない方がいいのかな。
「先生にね雑用 頼まれたのよ」
「はあ」
「でも、あたし今日用事あるって言ったのに聞かないのよ」
「そう」
「で、あなた暇でしょ。部活やってないもんね。
どうせ帰るだけじゃん」
この流れは、絶対に嫌な予感しかしない。
「えっ今日は」
「それでー代わりにやってもらいたいの♪」
そう言って背中に隠していた資料を私の前に出して、押し付けるかのようにグイグイと「やれ」と言わんばかりの圧を向けてきた。
「えっと」
「あたし今日はデートがあるから、無理なの。ていうか、こんなのやりたくない。暇なあんたがやって」
もうお願いじゃなくて、命令になってるよ。
というか、私に拒否権はないんだろうか。
(ないんだろうな)
そもそも新木さんは素直に雑用をやるタイプじゃないし。
「う、うん」
結局、引き受けてしまう。
「ありがとう。超ー簡単だから、ホッチキスするだけみたいよ。終わったら担任に渡しておいて」
そう言って新木さんはそそくさと逃げるかのように教室から去っていった。
「……ふう」
新木さんの横暴さはいつもの事で、嫌がらせがない分まだマシだ。
「何枚ずつなんだろう? あ、メモ書いてある」
嫌がらせも無理な押し付けも、私が何も反抗しようとしないからやってもいいと勘違いしているんだと思う。
反抗しないのは多分、私が相手にするのが鬱陶しいというのもあって、相手にするのは無駄な気がするからだ。
まあ、それが良いように利用されたり調子乗ったりしているんだと思う。
自分に呆れつつも押し付けられた資料に手を伸ばしたのだった。