扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「………」



保健室から出て蒼兎くんのあとを後ろから付いていっているが、なぜか蒼兎くんは声を発する事なく黙々と歩いている。



さっきと違って急に静かになって少し変な感じがする。



(どうしたんだろう?)



何か怒っているのだろうか?



そういえば、昨日も帰り怒っている感じがしたけど。



やっぱり、私が遅れたから怒っているのだろうか?



(どうしよう、そりゃあそうだよね)



「あ、蒼兎くん…」



「ん?」



私はそっと蒼兎くんに近寄って声を掛けた。



「もしかして、怒ってる?」



「えっ?」



「だって静かだし、黙々と歩いてるから」



「ええ…」



なぜか、驚いた表情をされた。



(あれ、変なこと言ったかな?)



ますます不安になる。



「俺だって静かな時ぐらいあるよ?」



「あ、そうなんだ」



「…なんで驚くの?」



「あ、ごめんなさい。なんか怒ってるような気がして、遅くなったからかなって」



「いや、別にそれは怒ってないけど。別に俺は」



蒼兎くん含みを持つような言い方でボヤつく。



「?」



蒼兎くん少しだけ私の方をじっと見つめてくる。



「……」



じっと見つめられる事に私は少しだけ戸惑いを感じてしまう。



「あ、あの…そんなに見ないでほしいんだけど」



「あ、ごめん」



蒼兎くんは本当に綺麗すぎるから、そんな綺麗でかっこいい人から見つめられると恥ずかしくて萎縮してしまう。



「あ、あの、邪魔した?」



「えっ」



「ほっしーと仲良さそうにはなしてたよね?
だから、邪魔したかなって思って」



「そ、そんな事は」



もしかして、蒼兎くんはその事を気にして静かだったのかな?



「…だったらいいけど」



どうにも蒼兎くんは不機嫌そうなのはなぜなんだろうか?



やっぱり私、何かしたのだろうか?



それがどうしても気になって仕方なかった。



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