扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「はあ…」



それからものの数分で星都先生は出て行ってしまった。



「なんか、疑問を残す説明で濁してたね」



「確かにねー」



星都先生が出ていった後、蒼兎くんたちは少し不満気な表情をしていた。



「そうなの?」



「うん」



「だってどう考えても、今はまだ望杏に知られたくないって感じで濁してたしね」



(そうだったんだ…)



普通に丁寧に教えてくれてたと思ったけど、確かに一部分だったのは確かだけど。



でも、私が気にしたのは、説明よりも単に星都先生とまた会えて嬉しい気持ちになっていた。



(みんなは星都先生が嫌いなのかな?)



「なんか嬉しそうな顔してるのね」



「えっ?」



表情で読み取ったのか白砂芽先輩は私が嬉しそうに見えたようだ。



別に笑ってはいないと思うのだけど。



でも、嬉しそうに見えるのか。



「はあ…」



蒼兎くんを見ると、どことなく更に不機嫌そうな表情をしていた。



なんで蒼兎くんはいつも不機嫌そうな表情をしているんだろう?



昨日もさっきも不機嫌だった。



「ねえ、ていうかさ」



蒼兎くんに対する不機嫌に疑問を持っていると、白砂芽先輩が私にあることを聞いてきた。



「望杏って星都のこと好きなの?」



「!?…えっ」



「は?」



白砂芽先輩のとんでもない発言に乙近先輩が驚愕な目を向けられた。



「それに、随分親しそうだし」



「いや、ちがっそんなんじゃなくて…」



必死に否定していても、顔が紅潮している自覚はあったけど、でもこれは。



「赤くなってる!やっぱり好きだよね!」



「だからえっと、その…ちが…う…っ」



白砂芽先輩はからかうかのように私の反応を楽しんでいるみたいだ。



否定し困惑している私はどう反応していいのかわからず、うろたえていると蒼兎くんが助け舟のように間に入る。



が、それは助け舟というよりも苛立ちの言い方で白砂芽先輩に責めている感じに近かった。



「はあ、別に言わなくていいじゃんか、わざわざ」



「えっだってね。ていうか、なんでキレ気味なのよ」



「……」



(まただ……)



また蒼兎くんが怒っている感じになっている。



私、やっぱり何かしたのだろうか?


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