扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜

結局、私は流れのままクラフト部に所属する事になってしまった。



「はあ」



「どうしたの？」



溜息を付く私に対して浬樹ちゃんが心配そうに声を掛けてきた。



「浬樹ちゃん。いや、大丈夫だよ」



「そう？」



「また、式見くん達に何かされたんじゃないかって」



碧沙ちゃんも心配そうに言ってくれる。



「そんなんじゃないよ、今日はまだ何もされてないし」



「そっか」



「ならいいけどね」



別に今日はまだ嫌がらせはされていない。



そのことも悩み事だけど、でも今はそのことで溜息を出したんじゃない。



私が悩んでるのはー。



「そういばさ」



「うん？」



「きゃーあれ！」



「ん？何事？」



浬樹ちゃんが何かを言おうとした時、クラス内から黄色い声が聞こえてきた。



声の方を見ると、教室のベランダから数人の女の子が校庭の方を見ていた。



「何だろうね？」



「行ってみる？」



「うん、行ってみよう」



「えっあ、うん」



浬樹ちゃんと碧沙ちゃんに促されてベランダに向かう。



「あれって」



「！」



校庭にいたのは蒼兎くん達だった。



蒼兎くん達は校庭でバスケをしていた。



部活以外でもこうやって会ってるんだ。



（仲いいんだ）



「あ、思い出した！」



「？」



突然、浬樹ちゃんが声を出して私の方へと振り向いた。



「昨日、来てた男子って音仲くんだよね！」



「えっ？」



「あ、そういえば」



碧沙ちゃんも同じように相槌を打った。



「知ってるの？」



「知ってるも何も有名じゃん」



「有名……」



「あれ、知らなかったの？」



「う、うん」



どうやら私の勘は大当たりだった。



音仲くんも蒼兎くんも白砂芽先輩も乙近先輩もこの学校じゃあ有名な人だった。



しかも中等部の頃から有名で人気だったらしい。



そりゃあ私との差が感じるのは当たり前だ。



（何それ……）



そのことを私は何も知らなかったなんて。



あまりにも周りを見ていない事に落胆してしまった。