扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「そんな事あるんだよ。
だって、そう言われたんだもんっ」



否定されて少しかっとなった私は、立ち上がり責めるように発した。



「この前言ってたの。校庭に連れられた時に蒼兎くん達を見てた女の子達がそう言ってたの! だから…だから」



「アリスちゃん」



鬱陶しいがられているだろうか。



そうだよね、嫌だよね。



「そもそもアリスに選ばれる理由がおかしいよ」



「⋯⋯はあ」



溜息が聞こえた。



ああ、やっぱり鬱陶しいがられているんだ。



「アリスちゃん」



静かに私を呼ぶと、ベンチから立ち上がり私の前に立つ。



「っ!?」



すると、蒼兎くんはなぜか手を伸ばしてきては、私の両頬を手のひらで覆るように触れる。



「ちょっ」



(なんで、また!?)



突然の行動にうまたろたえてしまう。



「君はすごくかわいいよ」



「えっ」



「お人形さんみたいにすごくかわいいよ」



「……何を言ってるの?」



彼は何を言っているんだろう。



頭がおかしくなったのだろうか。



「んー?事実を言ったんだけど」



「イヤイヤっおかしいからっ私は可愛くないよ!
ていうか離して」



「じゃあ、今日ちゃんと来る?」



「来るから!だからあの、離してっ」



さすがにどこに目を向けたらいいのか分からなくなる。



そもそも向けれない。



「分かった。じゃあ、迎えに来るね?」



「はっ? いや、別に来なくていい」



むしろ来られると困る。



ただでさえ蒼兎くんは目立つ人なのに、また違和感な目を向けられる。



「いいからいいから」



「本当に来なくていいからっ」



「じゃあ約束ね」



「えっちょっ」



ようやく離してくれたと思いきや、なぜか小指を私の小指に絡ませてきた。



「えぇ」



「指切った!」



「…えっと」



「これで逃れられないね♪」



しかも嬉しそうな表情で笑みを溢してきていた。



「俺、今日6限までだから」



「……」



「約束ね♪」



そう言ってまた、蒼兎くんは私に触れてきては、頬に顔を近付けた。



「っ!?」



「本当っ君って隙ありすぎだよね?」



蒼兎くんはそう吐き捨てては、そそくさと去っていった。



「なっななな…っ」



思わず唇に触れられた頬をばっと触る。



(うううっ)



正直、弄ばれてる感が半端ない。



感情がおかしくなる。



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