扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「はっ」



(あ、あれ?)



「あ、起きた?もう言ったのに落ちるって」



目が覚め上半身を起き上がると、蒼兎くんが目の前にいた。



「っ」



言いたい事いっぱいあるのに、いきなり至近距離で近寄られると少し困る。



「……」



「まだ怒ってるの?」



「……」



「いや、なんか喋ってよ」



何も言う事せずじっと睨みつけていたら、両頬を触ってムギューと引っ張られる。



「いひゃい、なにひゅるの?」



「よく伸びるな」



「むう」



引っ張られた頬を擦りながら蒼兎くんを睨むが、彼はなぜか嬉しそうに笑顔を向けていた。



違和感でしかない笑顔に私は、なんとなく恐怖心を憶えた。



そして、また両頬を触ってきて、今度は包み込むかのように覆ってきた。



「かわいいなあ」



「ちょっ…!」



何を言うかと思えばまたそれ?



この人の目は節穴なのだろうか?



私のどこをどう見てかわいいって言っているんだろう。



それって単に私が小さいだけで、別に芸能人みたいに顔がかわいい訳じゃないのに。



だいたい家族でもお兄ちゃんぐらいしか言われた事ないのに。



そりゃあかわいい物は好きだけど、私服はそれぽいけど、顔は本当に普通なんだってば。



「あ、あの何度も言うようだけど、私本当に普通だからね。芸能人みたいにかわいくないから」



「えっ何言ってんの?」



私の発言に蒼兎くんはなぜか驚愕な表情を向けてきた。



「というか、アイドルみたいというかお人形さんみたいだよね? 白くてピンクが似合いそうなそんな感じ。量産型とかロリータとか似合いそうなタイプだよね」



音仲くんもなぜか褒め称えてくる。



「ありえないからっ」



「いやいや、ないわ」



「うん、ないね。
望杏ちゃんって本気でそう思ってるの?」



「えっ?」



あれ、これって私がおかしいの?



それとも蒼兎くん達が変なの?



どっち!?



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