扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
ようやくしてアリスワンダーランドにやってきたものの。



「瑠架くんはさ、そもそも見た目と反してるんだよ」



「はあ?じゃあ、お前も反してるじゃんか」



「僕は見た目通りだよ」



「どこがだよっ」



私が目が覚めた時には既に言い合っていて、ねずみちゃんのいる洋館に向かっている最中もこんな感じで言い合ってる。



(いつまで、言い合うつもりなのかな?)



もうすぐ洋館に着くのに。



そんな事を思っていたら、本当に洋館に着いてしまった。



で、入る時ももちろん言い合っていた。



「あんたらね、遅いわよ!何分掛かってるのよ。
急いで準備して待ってたのに、全然来ないんだから」



「あ、ごめん」



「何それ?軽すぎでしょうが!」



(うん、それは思った)



「違うよ、僕のせいじゃないよ。瑠架くんが遅くしたんだよ」



「何、俺のせいにしてんの?元はお前が悪いだろうが」



「何 僕のせいにしてるの?そもそも瑠架くんの普段の行いがむちゃくちゃだからでしょ」



「別に悪くないよ。ちゃんとしてるしね」



「見た目は反してるのに?」



「反してないから」



「もう…あんたたちは」



白砂芽先輩が溜息を付きながら呆れている。



「もう、いいかげんにしなさいよ。いつもいつも」



(いつも?)



この言い合いって日常茶飯事だったの?



と白砂芽先輩が私に向けて「あ、来てくれてありがとう」と言う。



「あ、いえ。その、ごめんなさい」



「いいのよ、来てくれただけで嬉しい♪」



私が申し訳なさ気に言うと、白砂芽先輩気にしていない感じの頬笑みを向けてくれた。



怒ってなかった。



「あの、そろそろ」



と、ねずみちゃんが白砂芽先輩の所に来て何か言いたげそうな声を出した。



「うん? ああ、そうね。
ほら、もう時間 押してるんだから、始めるよ」



「あ、そうだね」



そこで、ようやく蒼兎くんと音仲くんの言い合いも一旦収まった。


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