扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
蒼兎くん達に関してずっと気になっている事があった。



「ねえ、そんなに有名人なの?」



「うん?」



「有名人っていうか目立つよね。ある意味」



「そうなんだ…」



「というか、望ちゃん知らなかったんだ。中学入った時から既に噂立ってたのに」



「あはは…」



中学の時はなんていうか自分の事で精一杯で噂なんか気にしていられなかったから。



「うーん、中学の時の望杏はなんていうか心ここにあらずって感じで、逆に言えば荒れてたしね」



「ある意味ね」



まあ、否定はできないかもしれない。



荒れてたというか病んでたの方が正しい気がするけど。



原因は色々あるけど簡単には言えそうにもない事ばかりだ。



「でも、正直 言うと浮いてる感じがするんだよね」



「ああー確かに」



「……」



「タイプ違うもんね、望ちゃん」



分かりきっている事とはいえ、否定されずはっきりと肯定されると、それはそれでちょっと悲しい気が。



「まあ、事実だしねー。ていうか目立つしモテるもん。勝ち組みたいな感じ?イケメン美女軍団って感じじゃない?実際言われてるしね。だから、歪を感じるのかもね」



「……歪」



やっぱり私の存在って歪なんだ。



「ちょっ浬〈りん〉ちゃんてば」



「えっあっ違うからっ。急に新しい子が入ってきたら違和感出るとかそういう意味だからね。決して望杏が歪とかそういう意味じゃないからね」



「うん、分かってる」



浬樹ちゃんは慌てるように私に歪と言った意味を説明する。



深い意味がない事は分かってる。



でも、私は別の意味合いを捉えてしまっていた。



「ねえ、言ったの?」



「……」



浬樹ちゃんが言った言葉に私は思わず口を紡いだ。



「言ってない」



「えっ」



「というか、まだ仮入部状況だから」



「ああ。じゃあ、早めに言わなきゃね」



「うん…」



「何が?」



「んー保護者」



「ああ」



「………」



部活入るなら親に言わないといけない事だって分かってる事だけど、私としては少し憂鬱だったりする。



(……言いたくないな)



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