扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「あのこっちの壁じゃあ」



暁先輩はぬいぐるみが隠されている壁の方に向かっていた。



「んー?あーこっちだよ。
ああそうか、入口にはね色々な方法があるんだよ」



「そうなんですか?」



じゃあ、楽な方法で降りれるって事だろうか?



「………」



暁先輩が押した壁の中からまたしてもぬいぐるみが出てきた。



だけど、やっぱりそのぬいぐるみも見た目がグロかった。



なんでいつも目玉と心臓が飛び出てるんだろう。



しかも目から血をイメージしてるのか赤い糸が垂れているし。



(せっかくうさぎのぬいぐるみがもったいないな)



「……」



やっぱりスイッチは目玉なんだ。



「望杏」



「えっ」



「早く」



「!」



手首を握り引っ張られる。



「?」



「時間制限あるんだよね」



そう言うと、次の瞬間床から何かが現れ少しだけ目線が高くなる。



「!」



よく見ると鉄格子に囲まれたトロッコような形になっていた。



「なにこれ」



「掴まっていた方がいいよ」



「えっ」



「スピードめっちゃ出るから」



「!」



そう言われた直後トロッコは真っ逆さまに落下してぐるぐると走り出した。



そしてあの部屋に着いたと同時に鉄格子のトロッコは消えた。



「えっえっ」



だけど、普通に着地するのならまだしも真っ逆さまで落ちるので、しかも着地寸前で鉄格子のトロッコも消えるものだから、部屋に着いた同時に投げ出される状況になった。



受け身も取れる訳もなくそのまま落ちる訳で、怪我する未来しか待ってなくて、これならいつもの入口方法のがマシだと思った。



一応空中に見えないクッションがあるけど怪我をする事はないけど、まあ慣れれば落下も平気になるらしいけど、私にはそのクッションがどこにあるのか未だに不明である。



「よっと」



「!」



放り出された直後、思わずぎゅっと目をつぶるが、なぜか痛みというものを感じず逆に何かの感触を感じた。



「えっええっ」



「ナイスキャッチだな」



「そ、そうですか。あ、あの…ありがとうございます」



「いいえ」



びっくりな事に暁先輩にお姫様抱っこされていた。


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