扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「面白かった?」



「怖かったです。絶叫系みたいで」



「そう?俺は楽しいよ?」



「そうですか…」



絶叫系とか好きな人なんだろうな。



「あと、お姫様抱っこも楽しかった。お姫様抱っことか初めてしたかも」



「あ、そ、そうですか。それは…よかったです」



なんか恥ずかしくなってしまった。



「あー暁じゃん」



「つきくんだー」



それからしばらくして愛羅ちゃんと音仲くんも部屋に入ってきた。



2人もそれぞれ気に入った方法で落ちて入ってくるけど、どれも安全さを感じないのはなぜだろう。



「あ、今日は瑠架いないんだっけ?部活の方?」



「ううん、普通に用事で帰ったと思う」



「ふーん」



「………」



そっか、今日は帰ったんだ。



(なら、よかった)



なんとなく安心している自分がいた。



多分、朝の事があって戸惑っていたかから、できれば会いたくないなって思っていただけで、決して会いたくない訳でもない。



「んじゃあ、中に入るか」



「そうね」



「そういや、最初って1人で入れた?」



扉の中に入る前に暁先輩がそう尋ねてきた。



「いえ、蒼兎くんが」



「あーなるほどね」



「?」



そのまま暁先輩は先に入っていった。



何が聞きたかったんだろう。



時に気にせず私も続けるように扉の中に吸い込まれるように入った。


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