扉に光るランプ〜落とした想いの物語〜
「ごめんね、びっくりしたかな?」



「大丈夫…です」



「そっか」



離れてくれたから、なんとか心の高鳴りは治まったから良かったけど、いったいなんであんなにもドキドキしたんだろう。



「あの、それで」



「これね」



「!」



ふと彼は私が気になっていた本を手に取る。



「これ…アリスなんですか?」



私は気になっていた疑問をぶつけていると、彼は「うん」と軽く頷いた。



「でもね、このアリスはあの絵本の童話とは違うんだよ」



「そうなの?」



「うん。君はアリス好き?」



何度も尋ねてきた疑問に私は軽く相槌を打つ。



「うん、好きです。昔から大好きでずっとアリスになりたいって思っていたくらい」



そうアリスが大好きだった。



ずっとずっと。



でも、どうして私にそんな事を聞いてきたのだろうか。



「でも、どうして?」



疑問を持ちながら彼に尋ねると、彼はやんわりした口調で答える。



「だって君、いつも童話のコーナーでアリスの本見てたでしょ?」



「!」



確かによくアリスの書籍などを読んだりしていたけど、なぜ彼がその事を知っているのだろうか。



図書委員と言っても、放課後だけで担当も決まっていて毎日部屋も人も決まっているから、何の本を見ているかなんて気にしていないと思うけど。



「だって、俺 君の事ずっと見てたから」



「……えっ…?」



思いしない彼の言葉に思わず思考が止まる。



(えっなっ何を)



「あっ今思考が止まった?びっくり?」



いや、びっくりというか突然過ぎて困惑して仕方ないのですが。



「ふふっ」



やっぱりモテそうな見た目の人は裏表が激しいのだろうか?



彼もあの人と同じなの?


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