Contract marriage ―契約結婚
♪.:*:'゜☆.:*:'゜♪.:*:'゜☆.:*:・'゜♪.:*:・'゜☆.:*:・'゜♪.:*:

翌日の朝。。

広いダイニングルームには、用意された朝食を食べている悠夏と、紅茶を入れている執事の吉澤…数名のメイドの女性がいた…

「悠夏さま、昨日は眠れましたか?」

と、悠夏の目の前に、ティーカップに入れた紅茶を差し出した吉澤…

「あ、いぇ、あまり…」
《えぇ、一睡も寝てません…

昨日1日で、色んなことが起こりすぎてて…》


「そうですか。今日は、ドレスの試着と昼食は、紘一さまのお母上との会食。午後は、〇〇で結婚指輪を選んで頂くよう…なっていますが…
どれか、明日に回しても…」

と、悠夏の1日のスケジュールを暗唱している吉澤は、スラスラとそう答えた…

「紘一さんのお母さん…?」
《あ、確か…お店を経営されてる…と、ネットの情報にあったゎ…

昨日は、その紘一さんのご両親には会わず仕舞いだったんだゎ…

会食は、外せない…わよね?

ドレスも、…式は来週とのことだし。

でも、結婚指輪…って、普通は、2人で選ぶものじゃ…

理想を言えば…
結婚指輪は、2人で見たいものだけれど…》


が、昨日初めて会った…紘一のあの様子では、2人で結婚指輪を選ぶこと自体、到底無理だろう…と、思い…

「あ、大丈夫です。予定通りで…っ」

と、無理に笑顔を作る…悠夏に

「ご無理なようなら、遠慮なく仰ってください。午後の予定は、明日に回しても差し障りありませんので…」

そう、笑顔を見せる吉澤…

その笑顔に、少し…鼓動が早まるのを感じた…


昨日よりも、笑顔を見せてくれるように感じる…


結婚する相手…が、吉澤のような人なら、自分の気持ちも少しはラクになれるかもしれないのに…と、ありえない妄想を思った。

が、悠夏は、すぐさま打ち消した…


現実問題…、あの紘一の言うがままになっていれば…と、半分諦めた想いさえ浮かんできた…


本来ならば、結婚生活に新たな希望を夢見るモノだが、そんなモノ…昨夜の紘一に通用するとは思えなかった…

あの、紘一の口ぶりでは、紘一本人も結婚は、本心から望んでいるようには思えない…

お互い、最初から愛情も気持ちも持てないのであれば…どぅ、打ち解けて行けばよいもの?…悠夏にはまるで分からなかった…


自分が、思い描いていた…結婚とは、程遠い現実に、気持ちがついて行かないことばかり…


どぅ…、打ち解けていいのか? 結婚生活が上手くいきそうにない要素ばかりだった
< 12 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop