Contract marriage ―契約結婚
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朝食後、身支度を整え…屋敷の玄関まで向かうと、吉澤は、既に車を待機し待っていた…

いつもの漆黒の燕尾服とは違う装いに…

「あ、普通のカッコなんですね?」
《カッコいい…っ!

芸能人みたい~…。

て、確かに、椎堂さんも背も高いし格好いいかもしれないけど…吉澤さんは、モデルさんか芸能人みたいだもんな…》

と、思わず…言葉についた悠夏に、

「はい、あまり目立つのは、悠夏さまがお気を遣うかと…」


「………」
《ショートコート、着こなしちゃうなんて…

なんか、デートみたぃ…!

って、何、言ってんだろ?
結婚するんだけど…私っ。。

好きなのか…、分からない人と。。》


が、そう思った直後…に、昨夜の紘一との口付けを思い出し…胸の鼓動が収集がつかなくなった…


「……っ」
《もぅ、あんな心臓に悪いこと、これからするのかしら?

結婚したら、もっと凄いこと、するのよね?


ムリだ、あんな人と…っ》




吉澤が運転する車は、ウェディングドレス専門店に向かっていた…


「あの、紘一さん、今日、朝食には見えなかったんですけど…」

運転する吉澤に、後部座席から覗き込むように言った悠夏…

「紘一さまは、今日から神戸の支社に出張です。朝、悠夏さまが起きられる前に発ちました」

「あ、そうなんですか?」

思わず…ふぅっと、ため息が漏れた…

それは、紘一に会わずに済んで…ホッとしたからか? どうなのか…

「帰られるのは、式の前日になります。明日は、北海道に出張ですので…」

「い、忙しいのですね?」
《仕事、大変なんだ…

もう少し…、話をしてくれるのなら…いいんだけど。

何も知らない。。

知りたい…とは、思うけど。

話しかけるの、怖いな…あの人。。》

悠夏は、車の後部座席から窓の外を眺め…

「……っ」
《ホントは、もっと…話をしなきゃいけないのだろうけど…

話をする間もなく…、椎堂さんのペースに巻き込まれていってる…


結婚するのは、お互い本心じゃないのなら…止めたい。

結婚したら…、大学はどうする…とか、話をしてかなきゃならないこともあるのに…

大学、辞めなくてもいいのよね?》
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