Contract marriage ―契約結婚
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ドレスを試着した後、雅がイタリアンのランチを予約している…ということで、吉澤の運転する車で、その店まで向かった…

ランチの間は、吉澤は席を外す…ということで、近くで待機しているはずだった…が、悠夏は、気が気でなかった…

「全く…、忠誠心があついって言うか?」

運ばれてきたパスタを食べながら…

「えっ?」

「吉澤。ランチくらい一緒に食べてもね? 忠犬ハチ公みたいで…落ち着いて食べれないったら…
悠夏ちゃんもそうでしょ?」

図星をつかれ…、返す言葉も見当たらない…

「最初に、あった頃は…紘一さんと兄弟みたいだったけどねー」

「…兄弟っ?」

聞き返した悠夏に、雅は頷きかえし…

「吉澤、小さな頃から、あの屋敷で育てられてたらしくて。紘一さんも、自分の弟みたいに…って。
私が佑一朗さんと結婚した時には、紘一さん、中学生だったかな? そういう感じに近かったけど…
あ、その頃は、吉澤は留学してたんだったゎ。休みに帰国してた時に、そぅいわれてたゎ」

「あの…、雅…さんは、いつからあの家に?」

「うーん、結婚して15年くらいになるから…。
紘一さんのお母さんは、その2〜3年前に亡くなってるのよね?
でも、私、あの家に居れなくて…いまは、佑一朗さんと別宅に住んでる」

「…そぅ…なんですね?」
《ってことは、小学生位の頃に、お母さん…亡くなってるのね?

寂しい思いをしてきたのかな? 紘一さん

私と同じ…?》


自分と同じ…、母親を亡くした紘一に、少し親近感が湧いてきたような気さえしてきていた…

ホントは、寂しい人なのかもしれない…と。


「私、ほら、サロンやらやってるから…昔っからいるメイドさん達は、紘一さんのお母さんと比べるし。そういうの、イヤなのよね?」

「はぁ…。」

「それに…、あの家では、敵も味方もいないから。悠夏ちゃん、気をつけてね…誰も信じない方がいいわ…」

雅は、悠夏の瞳をまっすぐに見つめながら…、そぅいった。

「それは…っ」
《いったい、

どういうこと……?》
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