Contract marriage ―契約結婚
「吉澤のことも…、彼は、紘一さんの奴隷みたいなものよ?
上手くやっていきたかったら…紘一さんには逆らわないこと。。」

「奴隷?」
《兄弟みたいに…育ってきたのに?》


「そうね。奴隷という言い方は悪かったゎ。執事は、主人には逆らえないからね?」

そぅ、悲しげに言う…雅に、その事は事実なのだと悟った…

「……っ」
《何があったの? 2人に…》


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ランチを終え…、イタリアンのお店から出た2人…

店の前には。ちょうど吉澤が待機していた…

「吉澤さん、これ、お腹空いたでしょ?
この後、結婚指輪を雅さんにも見立てて貰うことになったので…その間にでも…」

と、イタリアンのお店で作って貰ったサンドイッチの入った袋を吉澤に差し出した…

「悠夏さま…」

「お腹、空いてますよね? お昼も食べずに待ってて…」

「あ、ありがとうございます」

その袋を受け取った吉澤に、ほっと胸をなでおろした…

「良かった…!」

自然と…、笑顔になった…


…と、その時…

吉澤は、悠夏の肩を掴み自分の方に引き寄せた…バランスを崩した悠夏…

その悠夏のいたはずの場所に、ナイフを持った女性が倒れ込んでくる…

舞い上がった悠夏の長い髪の束が地面に落ちた…

その地面に、倒れ込むように両手を着いている女性…は、再び、地面に落ちたナイフを拾い…持ちなおし、悠夏に向かって切りかかろうとしている…

瞬時に、吉澤はその女性の腕をつかみ、ひねり揚げ…取り押さえた…

「…えっ?」

「離してっ! その女、許さない!
紘一が、その女と結婚するって!」

「…紘一さんの、元カノ?」

…と、頭を抱えた雅…

「…元カノじゃないわょ! …私、別れてないものっ!」

と、声を荒らげた女性。。

人だかりも増え…、周りの人も騒ぎ始めていた…

仕方なく…警察に引渡し…、事なきを得たが…


「あらー、悠夏ちゃん。髪が…」

悠夏の切られた髪を見て、ため息をついた…

背中まであった髪の一部が、肩先まで切られていた…

「まぁ、怪我がなくて良かった…でしょうけどね?」


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