Contract marriage ―契約結婚
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その日の夜。。

入浴を済ませ、寝室で本を読んでいた悠夏…

ドアが開く…微かな音で、その方を見つめた…

入浴を終えた紘一が、バスローブ姿で濡れた髪をタオルで拭きながら、入って来た…


その姿に、一瞬ドキっとした悠夏…

「こ…紘一さん…」
《び…びっくりした…

いきなり現れる…から…


夫婦の寝室なのだから、当たり前…と言われれば、当たり前…よね?》

その、姿に、少し…胸が高鳴った…

悠夏に近づいて来る紘一は、ベットに腰を下ろし、悠夏に視線を合わせる…

絡み合う視線…、胸の高鳴りが伝わりそうな距離まで来ていた…

「済まなかったな。今日は。
お前が襲われたの…俺の責任だ…
もう…、怖い思いはさせない…」

言葉足らず…の、紘一の言葉に…悠夏の目から涙が溢れ出した…

「大丈夫です。何も無かったし…
それより、吉澤さんは、悪く…ありませんから…」

吹きこぼれそうな涙を拭い…精一杯、笑顔を向けた…

紘一のバスローブ姿に、目のやり場に動揺し…緊張と、胸の高鳴り…で、どうかなりそうだった…


「…分かってる…
ワケは、雅から聞いたから…」

「……っ」

その、自分を心配してくれているような瞳に、悠夏の胸の鼓動が早まったのを感じた…


抱き締められ…、キスをした…


今までのキスとは違う…

優しく…、慈しむような口付けに…頭の中まで痺れるような感覚に陥った…


悠夏の身体を、ベットの上に押し倒し、何度か口付けを交わす…

「…あ…っ! 紘一さん…」

一瞬、身体を離した紘一は…

「嫌か? 俺に抱かれるのは?」

その言葉に、紘一の底知れぬ寂しさを悟った…

「……」
《嫌…、…なのかもしれない。。

でも、結婚するのだから…

怖くて…、堪らない…


雅さんが、言っていた…
中学生位の頃の、この人は、とても寂しかったのだと思う…

その、寂しさを埋めることが出来たら…


初めての人は、好きな人だと思ってた…

でも、それが…この人でもいい…

いずれ…、夫婦となるのだから……っ》


悠夏は、首を左右に振り…

「違うんです。…ただ…怖くて。初めてだから…」

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