Contract marriage ―契約結婚
ぱっと、踵を返し、部屋を出て行こうとした悠夏…

「どこ、行くんだ?」

紘一の言葉を無視し、部屋のドアへと向かう…

ドアを開けようとした瞬間…、もう片方の手を掴まれ…紘一の方へ強引に向かせられる…

両手首を捕まれ…、身動きが取れない…

「質問に答えろッ! どこに行くんだ?」

そぅ、耳元に聞こえた怒声に…、身体中が震えた…

「家に帰ります。ここにはいられない…!
あなたと結婚は出来ません…っ」

悠夏は、震える声でそう言った…

その、悠夏の言葉に…

紘一は、その悠夏の身体を引き寄せ…抱き寄せ…

「出ていくことは許さない…。お前は、俺のモノなんだから…」

そぅ、耳元でそぅ言った…

その言葉に、背筋が凍りついていくような感覚がした…

「イヤっ! 離して…
あなたも、この結婚を望んでないのなら…帰らせてくださいっ!」

「帰ることは許さない、お前は俺のモノなんだから…」

そのまま…、部屋の絨毯の上に、身体を押しつけられ…、紘一は、緩みかけていたネクタイで悠夏の両手を縛り付けた…

馬乗りになり、抵抗出来なくなった悠夏の頬に触れる…冷ややかな指先の感触に、恐怖を感じた…

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