Contract marriage ―契約結婚
両手首を縛られ…、馬乗りにされ…

恐怖心から、言葉も失い…震えが止まらなくなった…

「なんだ。呆気ないな…、もう、大人しくなって…」

恐怖のあまり…、身動きが出来ず…、息をするのがやっとだ…

心拍数があがり…、声が出ない…

「……っ」
《怖い…ッ! この人…

イヤだ…、誰か…助けて…っ!》


そぅ、狼狽えている悠夏の様子に、紘一は、笑みを浮かべる…

「紘一さん、なにを…?
止めて、これ、取って…!
乱暴しないで…! ごめんなさい…」

やっと、それだけ震える声で、言えた…


「雅が言ってなかったか? 俺に逆らうな…って。
馬鹿な女だな…。悠夏…
お前が、俺のモノだと…自分でも分かっていないようだな…」

そぅ、悠夏の頬に指先を這わせていく…

冷たい指先に、恐怖心が湧き上がる…

その時…、部屋のドアに何度かノックする音が聞こえ…

「紘一さま、物音がしたようですが…」

部屋の中を覗き混む…吉澤の姿があった…

「……紘一さま、なにを…」

「吉澤、中に入って、ドアを閉めろ…」


冷ややかだが…威圧感のある声に、吉澤は逆らうことが出来ない…

「…止めて…。紘一さん…」

「お前は、もっと利口な女だと思ってたよ…。」

そぅ…、冷ややかな指先で、悠夏の頬から首筋…胸元へとその指を滑らせる…


紘一は、吉澤の方を見…

「吉澤、目をそらすな。悠夏は、俺のモノだからな…」

頬から…首筋に手を回し…

「悠夏、俺を裏切ったら…殺すからな…」

ゆっくり…と、首に両手をかけながら…耳元で、その言葉を囁いた…

首から、手を離すと…その手はなぞるように胸元に行き、悠夏の服を脱がせていく…

唇…、首筋、胸元に唇を這わせられながら…、悠夏はキュッと瞼を閉じ、唇を噛み締めた…

「…ん…っ! 吉澤さん…見ないで…」
《吉澤さん! 見ないで…お願い…》


スカートの中…、太ももをなぞる…冷ややかな手に、微かな反応を示した…

その手が、足の付け根に割って入ってくる…

「…っあ! 痛い…。
紘一さん、怖い…止めて…お願い…っ」
《昨夜は、優しかったのに…

どうして、こんな…っ》


「感じてるくせに、我慢するなよ…」


逆らうのを止めた…

「…っあぁ…、いゃ…こんなの…」

無理やり、推し入ってくる感覚に…痺れるような感じがした…

紘一は、自分から顔を背ける…悠夏の顎先を自分に向け…唇を重ね…




吉澤は、あまりの現状に、閉めたドアにもたれ掛かり…ズルズルと、その場に腰を下ろし…両手で自分の顔を覆い隠した…
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