Contract marriage ―契約結婚
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翌朝

陽の光で、目覚めた悠夏…

瞼を開けると、すぐ近くに眠りについている吉澤の顔があり、一瞬、心臓が跳ね上がったのを感じた…

身体を起こし、起こさないよう…息を殺し、その綺麗な寝顔を見つめる…

そ…っと、少し茶色がかった髪を撫でた…


その拍子に、パッと、顔を上げた吉澤…

「…あ、すいませんっ! 寝てしまいました…」

慌てて…そぅ、言った吉澤に…悠夏は、吹き出しそうになった…

「吉澤さん、ずっと傍についていてくれていたのですね」

悠夏は、自分が眠りにつくのを見届けるまで…傍にいてくれるとばかり…思っていた…

一晩中、手を握っていてくれていたとは…


「シャワーの準備を致します」

そぅ、腰を上げた吉澤は、部屋を出て行こうとした…

「ありがとう。吉澤さん」

悠夏に、軽く頭を下げ…出て行った

「……」
《守らなければ…

この想いは…、誰にも知られては…いけない…》


悠夏は、吉澤が握りしめていてくれていた右手を、自分の胸元に当て…

深く深呼吸を繰り返した…

「……」
《昨夜、吉澤さんが傍にいてくれたことで、

これから先、何があっても…耐えられる…


あの、恐ろしい人に、抱かれようと…

きっと…、大丈夫…》

と、悠夏は、きゅっと瞼を閉じた…


昨夜の、紘一との行為が脳裏を駆け巡る…

あの、恐ろしい一面のある紘一に逆らわないように…上手くやっていくには…、あの男の機嫌を損ねないようにするしかない…


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