Contract marriage ―契約結婚
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「おめでとうございます。確かに、受理しました」

と、通り一辺倒の笑顔を向ける役所の職員…

「あ、ありがとうございます」

と、軽く頭を下げた悠夏…


役所の玄関まで向かおうとした2人…、右手を無言で差し出してきた紘一…

悠夏は、その差し出された手を濁り返し、出口に向かって歩き出した…

「悠夏、夕食はなにがいい?」

「そうですね。和食がいいですかね?」

と、笑顔で答えた悠夏に、紘一も笑みを浮かべる…

「分かった」


そのあと、椎堂家行きつけの懐石料理のお店に行き、帰路に着いた。


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入浴を終えた悠夏は、2人の寝室に行く…

ベットには、既に紘一が経済や経営関係の雑誌などを読んでいた…

悠夏がベットまで行くと…、その読んでいた雑誌をサイドテーブルに置いた

「おいで…」

シーツをめくり、悠夏を招き入れた…

身体を引き寄せた紘一に、微かに身体が強ばった…

肩を抱かれ、そっと唇を重ねられた…


昨夜のことが思い出され…、身体が強ばっていた…

どうか…、昨夜のようなことが起こりませんように…と、念じながら…


…が。。すぐ様、唇を離した…紘一は、悠夏の頬に触れながら…

その口付けは、優しく…暖かい…

あの、激しい一面がある紘一から受ける口付けだけで、胸元が切なくなってきそうだ…

それは、ソレ以上の味を知ってしまったから…

が…。。


「明日に備えて、今日はここまで」

と、それ以上のことはせず…唇を離した…

「…はい。おやすみなさい」
《あ、キス…だけなのね?

安心した…ような、もっと触れてほしいような…?

何なの、これ…?》

ベットに横になった2人…

紘一は、悠夏に腕枕し…悠夏は、紘一の望むまま…その胸元にもたれ掛かる…


「ドレス…、どんなのにした?」

「…内緒です…」

紘一の問いかけに、吹き出しそうになりながら…答えた



瞼を閉じ、寝息を立てている紘一…悠夏は、そっと身体を起こし…

その顔…、頬に手を触れる…

「……」
《こういう時の、紘一さんは、吉澤さんに似てる…
穏やかで、優しく…暖かい…

抱き締めてくれる…手も、似てる…

似てる…のに。。

この人の、急に激しくなる所は、何故なのか?


…分からない…


今日は、キスだけで…良かった…

昨夜のようなことがあったら…、怖くて堪らない…けど、

優しい時の手は心地いい…


私には、吉澤さんがいる…

何があっても…心だけは、この人のモノにはならない…》
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