Contract marriage ―契約結婚
悠夏は、再び…紘一の腕に抱かれるように眠りながら…

吉澤との、先の見えない未来を思い描いた…


けして、結ばれることの無い…未来…


「……っ」
《お父さまや、周りの人を守るため…には、これしかない…

誰も幸せにはならない…

雅さんの言う通り…だ…

紘一さんの、妻を演じる…

心の奥に、彼への想いはひた隠しにしながら…

そうでなければ……っ。》


♪.:*:'゜☆.:*:'゜♪.:*:'゜☆.:*:・'゜♪.:*:・'゜☆.:*:・'゜♪.:*:

翌日

悠夏と紘一の式が行われた…

椎堂グループの傘下にある結婚式場内の教会で…

大きな鏡の前に立った悠夏…
ドレスは、雅や吉澤に見立てて貰った…
後ろのドレス部分の裾が長い…今流行りのドレスらしい…


部屋のドアを何度かノックし、部屋に入ってきた人物…

「悠夏…」

「「お姉ちゃんっ!」」

…と、式が行われる前に、控え室にやってきた…悠夏の父親の翔吾と妹の結愛と結萌に、お手伝いさんの森もいた…

「とても、お綺麗です。悠夏お嬢さま」

森は、既に涙で顔がぐしゃぐしゃだった…

「悠夏お嬢さま、髪が…っ」

「うん。ちょっとね…気分転換でね!」

「綺麗だよ、悠夏…」

目を細めて言う…父の言葉に…、目頭が熱くなった…

「ありがとうございます。お父さま。
結愛も、結萌も…ありがとうー」

お揃いの色違いの衣装を身につけた双子の頭を交互に撫でる…

「……」
《この小さな妹たちを、不幸には出来ない…》


その為に、自分は、嘘をつくのだ…一生…

…と、そう思った…

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