Contract marriage ―契約結婚

瞼を閉じ、誓いの口付けを交わした…


それでも、先程の猜疑心が拭えない…

「……っ」
《あの2人の関係は、なに…？

どう、考えても…親族か、親戚関係か…？》


それを確かめられる人…は…

「悠夏ちゃん、おめでとうー」

と、再び、控え室に戻った悠夏に、紘一の義母である雅が挨拶に駆けつけた…

その声に、すぐ様腰を上げ、ドアの方を振り返った悠夏…

「雅さん！ あの、さっき…式の時に、吉澤さんが親族の席に…」

その言葉に、何かを悟った雅は…

「あ、聞いてなかったの？ あの後、吉澤か紘一さんから話すものと思ったけど…
あの2人ね、吉澤が小さな頃、椎堂家に引き取られたの…佑一朗さんの養子になったのよ。だから、兄弟みたいに育ったから…それで…だと、思うゎ」

雅の言葉に、目の前が崩れ去る…ような感覚がした…

「…兄弟…みたいにっ？」
《幼い頃に、お義父さまの養子に…っ？ 執事としているのに…っ？》


悠夏は、本当にそれだけの関係なのか？…疑問符ばかりが浮かんだ…

それにしても、あの2人の関係は、ただの主人と執事の関係とは思えない…

もっと、別の……

「そう。なんで、吉澤が紘一さんの下僕みたいになっているか、分からないし。」


確か、雅は、以前にも…2人は、兄弟のように育った…と、言っていた…

「…兄弟のように…。…でも、それなら紘一さんは、どうしてあんなふうに？」

「ええ。何か事情があるにしても…みんな、口を揃えて言うの。《存じません》ってね？」

「本当に、吉澤さんが椎堂家に引き取られた…のですよね？ ただ、それだけですね？」

悠夏の言葉に、頷き返した雅…