Contract marriage ―契約結婚
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「荷物、持つよ」

式が終わり、教会から椎堂家に帰宅した悠夏と紘一…

車から降り、トランクから荷物を出そうとした悠夏…、紘一はそれより先に荷物を取り出した…

「ありがとう。」

精一杯の笑顔を向けた…

偽りの笑顔…でも、紘一の機嫌を損ねたくない…。それは、本心だった…

「紘一さん、今日は、ありがとう。お父さまと妹たちや森さんに会えて…良かった」

「……」

一瞬、無言になった紘一に、悠夏は、瞬時に不安になった…

何か…、まずいことを言ったのではないか?…と。。

「いゃ、大したことない…
悠夏が望むなら…美崎の家に遊びに行っても…、危険が及ばない限りは、」

紘一は、荷物を抱え…、さっさと屋敷の方へ歩いていく…

車の運転をしていた吉澤は、紘一の背中を見送っている悠夏に…

「悠夏さま、どうかしましたか?」

吉澤の声に、はっと我に返る…

「いぇ。紘一さん、何か…今日は、機嫌が…」
《いいと言うの? あれは?》


「そりゃ、悠夏さまのドレス姿がお綺麗でしたから…」

と、笑顔を向けた吉澤…

「そんなモノで、紘一さんの機嫌が良くなるモノなのですか?」

「紘一さまに限らず…男は、そういうものです。
自分の為に、女性が綺麗な格好をして下さるのは、嬉しいモノです」

と、笑顔で言った吉澤に、悠夏は、一瞬頬を赤らめ…

「…そう…なんですね。肝に銘じます」


それは、紘一もそうだが…、自分も悠夏のドレス姿を目のあたりにすることが出来、嬉しかった…と、言われているようだった…

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