Contract marriage ―契約結婚
そぅ、呟くように…口をついた…

が、疑問符ばかりが浮かんだ…

その次の年も、翌翌年も…家族写真のように4人で映っているのは、変わらない…

ただ、写真の中の紘一は8歳以降の写真には笑顔がない……
吉澤に至っては、紘一の母親らしい女性に寄り添い笑顔を向けている…


「……っ」
《どういうことだろう…っ?

紘一さんのお母さまは、吉澤さんのお母さんじゃないのよね?

この、写真を見る限りでは…
いくら、幼い頃に引き取った…と、言っても…実の子の紘一さんより、吉澤さんと並んで映っている…って?
吉澤さんと、こんな満面の笑顔で…って…?》


まぁ…、この写真を見る限り…では、吉澤は愛嬌のある子どもだったように伺えた…


それ以降…の年、9歳…10歳…と年数を重ねていくと…父親であるはずの佑一朗が映らなくなった…

仕事が忙しくなってきたのか…?

「…11歳で最後?」

紘一の11歳の誕生日以降…写真が無くなっていた…

そのページには、白い封筒に手紙が挟まっていた…

《紘一へ。》


「……っ」
《これは、誰からの…っ? 手紙…?》



その時、勢いよくドアが開き…、悠夏は持っていた絵本とアルバムを床に落とした…

「…きゃっ!」

「何をしてる?」

その、張り詰めたような声に…

「…びっくりした。紘一さん…」

紘一は、部屋に入り…悠夏が落とした本やアルバムを拾い…、床に落ちた写真も拾い…

「勝手に触るな…っ」

「…勝手にって! 私は、ただ本を読もうと…っ!」

「勝手に…、人のものに触るなっ!」

急に、声を荒らげた紘一…

ここまで、感情的になり、声を荒らげたのは…結婚式をする前に、無理やり抱かれた時以来だった……

一瞬にして、記憶を引き出され…悠夏は、咄嗟に胸元を押さえ…

「…そんな言い方しないで…」

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