Contract marriage ―契約結婚
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朝から、悠夏と紘一は、吉澤の運転で病院に向かった…

屋敷の他の使用人やメイドたちにも内緒で、子どもを死産したかもしれない悠夏の精神を気遣って…の、紘一の配慮だった…

土曜日の病院は、閑散としており…病院側にも通達されてるからか…スンナリと事が進んだ…


結果…稽留流産。
妊娠初期にはよくあること…らしいが…

悠夏のショックは相当のものだった…

すぐに、堕胎手術が行われた…


2〜3日、様子を見つつ…大事を取り、入院することになった悠夏…

手術から目覚めると、吉澤が側に付き添ってくれていた…

「吉澤さん、紘一さんは?」

麻酔から、目覚め…すぐ様、そう聞いた悠夏に、吉澤は動揺を隠せなかった…

「紘一さまは、ドクターから経過を聴いています」

…と、無機質を装いながら、答えた…

何かを予感していた…

「林檎でも、むきますか?」

と、林檎をむき出した吉澤…、その器用な手先をボーと、眺めながら…

「私、あなたに話が…」

「……」

無言で、林檎をむいている…

途中から、泣きだしそうだった…

「…私は、紘一さんと、ちゃんと…夫婦として向き合いたい…
あの、赤ちゃんが気づかせてくれたの。このままじゃいけない…って…」


「……」

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