Contract marriage ―契約結婚

問いかけた悠夏に…

「紘一さまが、悠夏を連れて来い…と。」

「では、吉澤さんといけるのですね？」

と、笑顔で、そぅ言った悠夏に…

吉澤は、肩透かしを食らったような衝撃を受けた…

自分が、細心の注意を払っている…と言うのに、彼女は自分の保身しかない…

まぁ、それは仕方ない…と、思えた。


自分が守れるのなら…守る…と、決めたのだから…


「悠夏さま、私たちを沖縄旅行に誘う…と、言うことは、兄は何か…思惑があるようにしか思えませんが…」

その猜疑心を含んだ吉澤の言葉に…

「…紘一さんが？ 思惑って…？」

「兄は…、あなたのこととなると、いつもの冷静さを失う。
兄は、あなたが絡む…と、普通の人間のような執着心を見せる…
それが、私には異質に思えてならない…」

「……か、考えすぎでは…？」

吉澤の言った…異質…という言葉に、一瞬たじろいだ…

実の兄のことを…、そんな風に表現するモノだろうか…？

「……っ」
《吉澤さんが…、紘一さんのことを、そんな風に思うのは…

分からなくもないけど…

でも、何か思惑がある…とは、思えないのだけれど。》


…と、吉澤の方をじっ…と、見つめる悠夏…

吉澤は、悠夏の自室まで足を踏み入れ、悠夏に近づき…その耳元に…

「そんな目で見ないで…。あなたに触れたくなるから…」

そして…

視線が絡み合い…、口付けを交わした…


「一度…、手に入れたら…自制など効かなくなる…」

そぅ、悠夏の身体を抱きしめ…首筋にキスをした…昨夜同様、跡が残らないように気をつけながら…