Contract marriage ―契約結婚
悠夏は、吉澤の背に自分の手を回した…

「……っ」
《昨夜、あの後…

紘一さんにも抱かれたことを…、吉澤さんに知られてはならない…


私は、いくつ…嘘を重ねればよいのか…?》



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「私、初めてなんです。旅行って…」

と、悠夏は、吉澤と紘一の元に行く前日…とても機嫌が良かった…


紘一が、出張で沖縄に行って以来…、周囲の目を盗んで…は、吉澤の部屋へ通う…のが日課になっていた…

吉澤は、何処に悟られないよう…細心の注意を払い…、悠夏を呼び出す時間は、他の秘書や執事・メイドたちが不在の時や帰宅後…と、決めていた…

「悠夏さま…、旅行中は、細心の注意を払ってくださいね。」

…と、何度…、幾度…悠夏にその事を告げているだろう…

が…

「…大丈夫。分かってます。」

と、悠夏は、満面の笑顔を向ける…

「信じて貰えないかもしれないですけど…
私は、紘一さんのことも大事なのです。」

「…はい。分かってます…」

そんなことは、悠夏を見ていれば…分かる…

あの兄が、悠夏のことに関しては、理性を失う…

それが、何よりの証拠だ。


あの兄が、悠夏には、自分の母親のことや、弟である吉澤のことを悠夏に話している…ということ時点で、明らか…に今まで付き合っていた女性とは違う…
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