ひと夏の恋をキミと
「あの…、姫奈は病気なんですか?」


俺たちの間に
冷たい空気が流れた。


「もし、もしも
姫奈が病気だったら陽輝君は
どうする?」


逆に質問で返されてしまった。
でもそんなの答えは1つだ。


「何も変わりません。
姫奈は姫奈です。」


姫奈のお父さんと
目線をしっかりと合わせて言った。
少しでも俺の本気が伝わるように。


「そうか…。」


一言呟くと立ち上がり
背を向けた。


「姫奈は幸せ者だな。
君みたいな子に愛されて。」


お邪魔したねと付け加えて
部屋を出て行った。


最期に残したセリフは
微かに声が震えていた。
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