ひと夏の恋をキミと
パンッと大きな音を響かせ
陽輝が放った弾は一直線に
景品に向かって飛んで行った。


トンっという音がして景品が落ちた。


「…え?」


その景品は私が可愛いと思っていた
ネックレスだった。


「お兄ちゃん上手いね~!
はいよ!」


どうも~と言っておじさんから
景品を受け取ると、
隣にいた小さな男の子に話しかけた。


「これ、俺の残り。一緒にやるか?」


私はさっき見てたんだ。
この子が何度やっても
景品が取れなくて
お母さんにもう帰るよと言われても
ずっとこの台の前に貼りついているのを。


きっと陽輝もそれに気付いていたんだ。


「…いいの!?」


目を輝かせた男の子を抱きかかえて
陽輝が支える形で銃を構えた。
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